出所祝いや報償禁止 稲美・発砲事件で服役中の山口組系組員に 県公安委が篠田組長らに初命令
兵庫県公安委員会は20日、特定抗争指定暴力団山口組(総本部・神戸市灘区)の篠田建市(通称・司忍)組長(80)ら2人に対し、2017年に同県稲美町で発砲事件を起こしたとして服役中の同組系組員に、出所祝いや功労金などの報償を与えることを禁じる「称揚等禁止命令」を出した。暴力団対策法に基づく措置で、兵庫県内で同命令が出されるのは初めて。
事件は17年6月に発生。山口組と対立する特定抗争指定暴力団神戸山口組(本部・神戸市中央区)の井上邦雄組長の稲美町内の別宅に発砲したとして、山口組の2次団体「倉本組」(本部・和歌山市)の組員の男3人が逮捕され、銃刀法違反と建造物損壊の罪でいずれも懲役7年の判決を受けた。
県公安委は20日、同命令を篠田組長と、倉本組の津田智加良組長(63)に対して出した。県警暴力団対策課は発出の理由を「称揚措置をとる可能性が高いと判断したため」としている。
命令の効力は出所から5年後までで、組員の服役期間は25年までの予定。組員に現金を提供するほか、組織内の地位を上げることも禁じられ、違反すれば3年以下の懲役か250万円以下の罰金、または両方が科される。
同命令は08年5月の暴対法改正で公布された。県警暴力団対策課によると、同命令は21年末時点までに、全国で187件が出されたという。
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