山口組傘下団体では初 「山健組」事務所の使用差し止め仮処分申し立て
特定抗争指定暴力団山口組の傘下団体「山健組」(神戸市中央区花隈町)の事務所や周辺施設について、暴力団追放兵庫県民センターは11日、使用差し止めの仮処分を神戸地裁に申し立てた。近隣住民約40人から委託された暴力団対策法に基づく代理訴訟で、認められれば組員の立ち入りや会合が禁止される。
代理人弁護団によると、山健組は50年以上前に現在の事務所周辺に拠点を構えた。最盛期には約7千人を擁し、全国最大の暴力団山口組の中枢を担った。山口組の5代目組長や、現在の神戸山口組組長も所属していた。
しかし、山口組6代目の出身団体「弘道会」(名古屋市)が勢力を伸ばすと、山健組は2015年に山口組を離れ、他の直系団体と神戸山口組を結成した。その後、神戸山口組内部で運営方針を巡る対立が深まったことから、昨秋に神戸山口組を離脱して山口組に復帰した。
事務所周辺では10年に手りゅう弾が爆発する事件が発生した。19年には分裂抗争に絡み、近くの路上で組員2人が射殺された。
事務所は暴対法の特定抗争指定に基づき、20年から使用が禁止されているが、抗争が終結すれば組員らの立ち入りが可能となるため、近隣住民が県警に相談していた。
センターが申し立てたのは、山健組事務所や関連建物、駐車場など。弁護団によると、一部の建物は神戸山口組の関係者が所有しており、山健組と神戸山口組を対象とする。
県内では神戸山口組や絆会(旧・任侠山口組)の関連事務所の申し立て事例が5件あり、いずれも地裁が使用を禁じる仮処分を出している。山口組関連の事務所が対象となったのは初めて。
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