工藤会主要組織、「田中組」本部事務所の撤去を確認…跡地は民間企業が駐車場に
特定危険指定暴力団工藤会(本部・北九州市)傘下の主要組織「田中組」本部事務所について、福岡県警は11日、撤去を確認したと発表した。土地の所有権が北九州市の民間企業に変更された。関係者によると、跡地は駐車場として活用される見通しという。
田中組は工藤会トップで総裁の野村悟被告(75)の出身母体。発表や登記簿によると、同市小倉北区の本部事務所は3階建てで、昨年10月~今年2月に解体工事が行われた。建物については閉鎖登記手続きが昨年12月に完了し、今年3月4日の売買で土地の所有権が工藤会と無関係の民間企業に移った。
同区の繁華街にあった田中組の紺屋町事務所についても、県警は1月、撤去を確認した。跡地は野村被告の親族が所有しているものの、工藤会側は組の関係施設として利用しないことを県警に誓約している。
昨年12月に施行された改正県暴力団排除条例では、新たな暴力団事務所の開設禁止区域が大幅に拡大され、既存の事務所を撤去した後に周辺に新たな事務所を設置することは事実上、困難となった。県警によると、田中組の本部事務所と紺屋町事務所に代わる施設は確認されていないという。
野村被告の逮捕や取り締まりの強化で、工藤会は資金力が低下。事務所の維持費用などが負担になっているとみられ、2014年9月の野村被告の逮捕後、撤去された事務所はこれで少なくとも24か所となった。
田中組の本部事務所跡地は現在、更地となっている。近くに住む70歳代の男性は「怖くて事務所前を歩くのを避ける住民もいた。地域の課題が一つ解決して、ほっとしている」と話した。
読売新聞オンライン