工藤会本部跡地購入のNPO、借り入れ返済完了 福祉拠点開設計画
特定危険指定暴力団「工藤会」の本部事務所跡地(北九州市小倉北区)で福祉拠点開設を計画するNPO法人「抱樸(ほうぼく)」(同市八幡東区)は29日、跡地購入時に金融機関から借り入れた1億3000万円を完済したと発表した。今後は建設費として3億円を目標に新たな寄付を募り、2024年10月予定の開業へ本格始動する。
本部事務所は、組織壊滅を目指した福岡県警の「頂上作戦」を経て19年から解体された。北九州市で生活困窮者らの支援に取り組む抱樸が20年4月に跡地を購入するとともに、「希望のまちプロジェクト」と銘打ち、全世代型の地域共生拠点構想への協力を呼びかけていた。
抱樸によると、県内外から個人を中心に計554件1億210万円の寄付があった。NPOの積み立てなども充てて今月完済。施設を運営する社会福祉法人設立に必要な最低1億円の基本財産を確保したことになり、記者会見した奥田知志(ともし)理事長は「新型コロナウイルスの中で『こういう街を作ろう』という思いがうまくつながった」と感謝した。
施設は3階建て。今後設立する社会福祉法人が2、3階で救護施設を運営する。NPOが運営する1階には、子ども、障害、高齢者など幅広く相談を受ける窓口や、子ども食堂、地域から要望のあった災害時の避難場所など多様な機能を持たせる。総工費10億円のうち、補助金などの対象から外れる3億円について、新たな寄付を呼びかける。奥田理事長は「コロナで傷ついた社会で困窮する人は増える。全国から応援を得て、このモデルを他の地域に広げたい」と訴えた。
毎日新聞